近代神秘集:生きもの編 近代神秘集:生きもの編 第2回 骨と魂 骨と魂 前篇 1 その骨を見つけたとき、月はひどく白く、野原はまるで誰かの夢の中みたいだった。 夜風に混じって、ふと鼻をくすぐる匂いがあった。鉄のような、土のような、忘れられた命の匂い。 私はタヌキである。 腹を空かせて草むらを歩いていたそ... 2025.05.15 近代神秘集:生きもの編
近代神秘集:生きもの編 近代神秘集:生きもの編 第1回 蝶は風に舞って 蝶は風に舞って 1 僕はハム、柴犬だ。任務があってこそ、生き甲斐がある。そう信じるひとりだ。 頭が禿げて皺の深い貴志郎爺さんの命令で、いつも山沿いの小さな村の周辺をパトロールする。村のみんなは僕のことを気に入って、時々頭を撫でたり、お菓子を... 2025.04.16 近代神秘集:生きもの編