噺のつれづれ

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噺のつれづれ 第9回

第9回 淡彩の味わい、十代目金原亭馬生広尾晃私は十代目金原亭馬生(1928-82)を聞きたいためだけに、関西から東京に通っていた時期がある。独演会などはあまりしない噺家だったから、落語協会の寄席を追いかけるしかない。鈴本、新宿末広亭、池袋、...
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噺のつれづれ 第8回

第8回 三代目柳家権太楼のありがたさ広尾晃もう20年も前になるが、上野の鈴本で女流大会と銘打って、東西の女性の噺家による落語会が催されたことがある。人気の出始めた人もおり、客席はいっぱいになっていた。女性の噺家が並ぶ中で、客演として一人柳家...
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噺のつれづれ 第7回

第7回 心やすい“昔の上方”が、たちあがってくる 五代目桂文枝広尾晃現六代目桂文枝は、もとは桂三枝。吉本興業の大スターとして圧倒的な存在だったが、師匠の名前を継いで2012年に六代目桂文枝になった。個人的にお世話になったこともあり、五代目文...
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噺のつれづれ 第6回

その6 噺家の「出」広尾晃落語の面白さはいろいろあるのだが、トリビア的なところでいうなら「出」というのがある。文字通り噺家の「出」。登場シーンだ。前の演者が頭を下げて下り、次の出囃子が鳴り、噺家が登場する。その間、ほんの数十秒の出来事である...
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噺のつれづれ 第5回

その5 「新作落語」と「古典落語」広尾晃「古典落語も生まれたときは新作だった」という言葉があるが、そうではない。古典落語の多くは、生まれた時から古典だった。落語が生まれる以前の「聊斎志異」にまとめられたような中国説話、「今昔物語」など日本の...
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噺のつれづれ 第4回

その4 落語「江戸と上方」広尾晃芸能を語るうえで、江戸東京と上方の違いは確かに存在する。落語でも、東京落語と上方落語は基本的な「言葉」が違う上に演出法もちがう。舞台装置も違うし、厳密に言えば着物も、その着こなしもかなり違う。歌舞伎も、相撲も...
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噺のつれづれ 第3回

第3回 落語の深みにはまる方法どんなものを好きになるにしても、最初は手当たり次第に触れていく。吸収していくことでより深く理解することになる。「落語」も同じだ。最初はより多くの噺家の落語を聞けばよい。寄席に出かけ、地域寄席に出かけて落語を聞く...
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噺のつれづれ 第2回

その2 落語は「都会人」のもの広尾晃「落語とは何か」前回から続く。本当にそうだったのかはよく知らないが、昔の東京や大阪では、田舎から子どもが商店に奉公にやってくると、主人に連れられて寄席のお供をしたという。落語の世界にふれて、都会の商家のマ...
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噺のつれづれ 第1回

その1 落語は歌舞伎のサブカルチュア筆者は今は野球を中心とするスポーツの記事を書くことを生業としているが、大学の後半くらいから落語など古典芸能に夢中になり、雑誌『上方芸能』編集部で上方落語など古典芸能の取材や編集を行い、卒業後は当時は任意団...