シャバに出てから

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シャバに出てから──『智の涙』その後 追悼編2

今回の追悼原稿は、矢島一夫さんの息子さんのTさんです。編集部でインタビューをしたものをまとめました。 ●手紙のやりとり、面会 ・お父さんのことをいつごろ聞いたのですか? 生まれた時は父はすでに家にいなかったです。刑務所に面会には行っていまし...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 追悼編1

ウェブ連載「シャバに出てから──『智の涙』その後」を15回書いてくださった矢島一夫さんですが、本年2月18日(土)、ご自宅で亡くなられました(詳細は、『救援』2023年4月10日号、救援連絡センター発行、をご覧ください)。 お知らせが遅くな...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第15回

第15回 アフエア 矢島 一夫 (ある日の出来事・仕事・問題) アパートの隣室のOBちゃんは面白くて心根はいい奴だった。現役のやくざを気取りながらも寄る年波で体が思うように動かない。だから朝から焼酒くらってカラオケに夢中。飽きると道路側のエ...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第14回

第14回 変わり者 矢島一夫 タバコの吸い殻・食べかす・レジ袋等をポイ捨てする人が後を断たない公園。わたしがそれらを拾っていると、手伝ってくれる人があらわれた。感謝! (いつも掃除してくれている人がいるのを知っていながら、平気でポイ捨てをで...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第13回

第13回 老人かくめい 矢島一夫 公園で知り会った友人に誘われ、市営の老人福祉センターに行った。午前9時の開所だが8時すぎから男女の老人が集り始めている。 それは何台かあるマッサージ機の争奪と一番風呂が目当てであった。「湯が汚れたり大便が浮...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第12回

第12回 モナリザの微笑(たたかい) 矢島 一夫 公園で一人の女性とめぐり会った。昼間はアパレル系の仕事をこなし、夜は朝未明まで弁当作りの仕事をしているとのこと。 ダブルワークで無理をしても生活が窮々とする人たちは沢山いると思う。貧富の差が...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第11回

第11回 アイソレーション 矢島 一夫 新幹線と私鉄をのり継ぎ妻子が住むA市の駅に着いた。改札口を出ると石づくりのベンチに妻と子が座って待っていた。だが、喜こびと感動の熱い心は冷たい水を頭からぶっかけられた思いに変った。 ただいま! 長いこ...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第10回

第10回 何も言う資格はないのにね 矢島一夫 ないないづくしで一円もない。泣くなく大切なCDを15枚ブックオフに売った。長い年月、喜怒哀楽の俺を支え励ましてくれた数々の想い出は、3070円の金を受取ることで去った。 公園で、3日も石のベンチ...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第9回

第9回 加害の中の被害性、被害の中の加害性 矢島 一夫 朝(あさ)未(まだ)明(き)、公園の四阿(あずまや)で4人の若い人達が飲食し談笑していた。おはよう!と声をかけると、みんなが「おはようございます」と応えてくれた。仕事帰りですか、あそび...
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シャバに出てから──『智の涙』その後 第8回

第8回 スポイルアウト To be continue 矢島一夫  それは起るべくして起った。仕事帰りの十字路。わたしは道路に倒れ、相手は自転車からおりて、手から落ちたスマートフォンを拾っていた。普段から歩きながらとか自転車や自動車を運転しな...