あてにならないおはなし

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あてにならないおはなし 第10回

第10回 「心身バラバラの意味をちょっと深掘り」阿部寛青年期の暗夜行路の微かな灯となってくれたものの一つが「森田療法」であったことは、前回書いたとおりである。何人かの読者から「実は私も森田療法の治療を受けていました」というご連絡をいただいた...
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あてにならないおはなし 第9回

第9回 「心身バラバラの意味を探る」阿部寛前回の文章を読んでくださった方から、予想外の、いやある意味予想通りの、感想が寄せられた。例えば、「苦労をしてきた人は、優しくなれる」とか。「青年期の試行錯誤が今の阿部さんをつくった」とか。「よく頑張...
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あてにならないおはなし 第8回

第8回 「故郷のことばを手繰りよせて(つづき)」阿部寛(横浜の寿識字学校に毎週通い、必死の思いで綴り続けるのだが、書き出される文章は、うまく書こうという思いが先走るよそよそしいことばばかりだ。そんな姿を見かねたのか、主宰者の大沢敏郎さんから...
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あてにならないおはなし 第7回

第7回 「故郷のことばを手繰りよせて」阿部寛寿識字学校で人生の岐路(分かれ道)に立ちながら、行く方向を探しあぐねていたとき、わたしの背中をぐっと押してくれる出来事があった。毎週金曜夜に識字学校に通い、何とか上手に文章を書こうとばかり努めたも...
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あてにならないおはなし 第6回

第6回 「愛すべき伝説の男」阿部寛人生は、出会いの縦糸と別れの横糸が織りなす織物だ。どれ一つとして同じ色柄はない。私の織りの基調は、20歳代後半、ある男との出会いによって劇的に変化した。遠方から大きく手を振って近づいてくる男がいる。赤のベレ...
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あてにならないおはなし 第5回

第5回 「寿町に咲くムグンファ(天の花)」阿部寛金孟任キムメンニムさんは在日一世。18歳で日本に来た。本当は勉強したかったが、両親からは「旦那さんを神様だと思って暮らせ」と言われ、勉強をあきらめた。以来50数年、寝る間も惜しんで働き、子ども...
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あてにならないおはなし 第4回

第4回 「自分のことばが欲しい」阿部寛日本の3大ドヤ街(日雇労働者の簡易宿泊所街)の一つ、横浜・寿町にある寿識字学校に初めて参加したのは、1984年春だった。毎週金曜の午後6時から9時までの3時間、寿生活館2階の部屋で開校されていた。「寿識...
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あてにならないおはなし 第3回

第3回 「野宿者襲撃事件と寿識字学校との出会い」阿部寛今回は、わが人生のライフヒストリーを28歳まで先送りして、本連載の副題にもなっている「識字」との出会いについてふれたい。横浜市役所や横浜スタジアムのすぐそばに寄せ場(日雇労働者の就労斡旋...
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あてにならないおはなし 第2回

第2回 揺るぎない信頼は恐ろしい阿部寛連載第1回の文章に対してうれしい反響があった。その一つを紹介しよう。神奈川県厚木市で25年間続けられている地域人権学習会ぼちぼちのみなさんからのメールだ。被差別部落でくらす小学生2人、中学生1人とわたし...
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あてにならないおはなし 第1回

第1回 口上 〜滞ることば、苦い記憶〜阿部寛ことばは、多様な顔立ちをもつ魔物だ。幼い頃のことばの記憶は、かなりにがい。色あせた写真の中のわたしは、口を半開きにしてぼーっとしていて、なんだか頼りない。人見知りで、他人(ひと)前ではほとんどしゃ...