湘南 BENGOSHI 雪風録 第31回

山本 有紀

 

法律相談を希望する人は、どの弁護士に頼もうか、弁護士について色々調べてから連絡していることが多いと最近、弁護士ドットコムの中の人に聞きました。

道理で皆さん詳しい。

私が宝塚を好きなことは大概周知されるに至っている気がします。

星組の『1789』再演めちゃくちゃ楽しみ。舞空瞳ちゃんがオランプなの劇団めちゃくちゃよくわかってらっしゃる。ありがとう! せおっちのアルトワ伯も楽しみ。

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エンタメ要素強めのもの、社会的なメッセージが強いもの、芝居には色んな形のものがあり、舞台装置もまた色々ですが、私は、どんな芝居でも共通して、役者さんが、何をどういう手法で、どこまで表現するかというのが気になります。

役とその役を演じている役者さんその人を二重に見ている感覚は、映画やテレビドラマを観ているときにはあまり自覚しませんが、芝居となると途端に、この、目の前の役者さんが、何をどう表現するのかというのが、ストーリーや芝居に込められたメッセージに負けないくらい重要な要素として、浮かび上がってくる感覚があります。

歌がたくさんある芝居であれば、この役者さんが歌をどういうふうに歌うかというのがすごく気になるし、水に飛び込んだり、脱いだりする芝居のときは、役者さんの思い切りの良さみたいなものに自然と目が向きます。他方で、役者さんに雑念みたいなものがあると、なんだか途端に役は上滑りしてしまっているように感じます。

宝塚であれば、踊りがみんなで揃っているのを、そして揃っている中にもそれぞれのジェンヌさんの光り方の違いに目がいくし、私の一番の推しである舞台俳優の望海風斗さんであれば、いまだにその役そのものとは離れて、雪組トップスター男役の面影を、望海さんの目と眉毛の間の少しの隙間に探してしまいます(そしてまだちょっと切ない)。

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私は勝手にジェンヌさんたちに自分自身を重ね合わせて(ちなみに私は運動神経がとても悪く、体育の行進のようなものも不得意だし歌ったり踊ったりはまるでできません)、私は何をどんな手法で、どこまでやれるのかということを考えています。

フランス革命を描く『1789』を見ながら、そうはいっても自分の実生活の中で、大きなものの決めたことに疑問があってもそれを声に出さず、ただ受け入れていくのではだめだなぁと思っています。

 

前回の彩マガで、袴田事件について検察は特別抗告をすべきでないと書きました。

ここでいう特別抗告というのは、無罪を訴える者のためにある再審を開始するという高裁の決定に対して、検察が不服を持つ場合、憲法違反または判例違反を理由として決定から5日間は最高裁判所に特別に抗告をすることができる(決定に対して不服を申し立て、その内容を争うことができる)というものです。

特別抗告をすべきでないという声はいろんなところで大きく上がりました。再審開始決定から実質1週間の短い間に弁護団が集めた署名は約4万。静岡地裁で袴田事件の再審開始を認めた元裁判官である村山浩昭氏も、検察官の特別抗告を牽制する発言をしました。日本プロボクシング協会は、従前から袴田さんを支援しており、英語を使って世界に検察は特別抗告をしないようにと発信していました。

いろんな活動を通じて(大きなものの前になかなか状況を変えられないことも多くありますが)山が動くことがあって、そのことを自分の実感として知っているか知らないかによって、いやそれ以上に、具体的な表現は人それぞれであってもを山を動かそうと雑念なく思えるかどうかによって、その人のとる行動というのは違ってくるように思います。

袴田事件は、検察に特別抗告を断念させました! これも多くの人の声によって山が動いた例です。

ただその後の検察の動きはどうか。まだまだ多くの目で注視していく必要があります。

 

 

[ライタープロフィール]

山本有紀

1989年大阪府生まれ。京都大学卒業。
大学時代は学園祭スタッフとして立て看板を描く等していた。
神奈川県藤沢市で弁護士として働く。
宝塚歌劇が好き。

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