すっかり秋の雲になった。サザンオールスターズの茅ヶ崎ライブ抽選は当然のように当たらず、急な気温の変化で喉が痛くなったりした。
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つい先日、藤沢市役所の窓口にカスタマーハラスメントについて書かれたポップが置いてあるのを見つけた。
カスタマーハラスメントとは、「顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為」等と説明される。
2020年1月、厚生労働省は、(明確にカスタマーハラスメントという言葉を使っているわけではないけれど)事業主に対して、労働者からのカスタマーハラスメントについての相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること、被害者への配慮のための取組み(例えば、迷惑行為を行った者に対する対応を一人でさせない等)を行うことが望ましいと指針[i]で示した。
この指針には、被害防止のためには、事業主がカスタマーハラスメントへの対応に関するマニュアルの作成や研修の実施などの取組みを行うことも有効、と書いてある。
2022年2月、厚労省はカスタマーハラスメント対策企業マニュアル[ii]を公開し、今年9月1日に改正された精神疾患の労災認定基準[iii]にも、労働者に心理的負荷を与える業務による具体的出来事として、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」が追加された。
労災認定基準の改正の概要には、この「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」がいわゆるカスタマーハラスメントとして説明されている。
労災の認定基準上の記載は抽象的な記載にとどまっているけれども、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルには「実際に企業が受けたカスタマーハラスメントに類する行為」として具体例が挙げられている。
例えば、電話であれば長時間のもの、度重なるもの、大声、暴言で執拗にオペレーターを責める、揚げ足取り、自らの要求を繰り返し、通らない場合は言葉尻を捉える、脅迫的な言動、反社会的な言動など。
実際に来店しての同様の行為、言いがかりによる金銭要求、制度上対応できないことへの要求などなど。
厚生労働省の調査によると全国の企業・団体に勤務する20〜64歳の男女労働者のうち、過去3年間に勤務先でカスタマーハラスメントを一度以上経験した者の割合は15%であるという結果が出ているらしい。
カスタマーハラスメントについてのポップを窓口に置くのは、カスタマーハラスメント的言動を選択肢として持っている人への刺激になるのではないかと思わなくもない。それを超えてカスタマーハラスメントへの新たな取組みを公が積極的に示していくということなのかもしれないが、市役所自身の切実な問題としてカスタマーハラスメントがあるのではなかろうか。
私も法律事務所で事務局として働いていた時には、電話でひどいことを言われたりした。事務局には無礼な人が却って弁護士には必要以上に猫撫で声だったりする。ぺ!
今回改正された精神障害の労災認定の基準では、カスタマーハラスメントを会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても会社から適切な対応がなく、改善がなされなかったことが、労働者の心理的負荷を強める事情として具体的に記載されるに至っている。
カスタマーハラスメントの対策マニュアルの作成(予防策)や事後の対応など、会社にも具体的な対応が求められている。
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そういえば電話でチケットを取ることって長らくやっていないなあと思う。サザンのチケットは申込み方法がなかなかややこしかったです。このややこしさを乗り越えてしかも平日木曜日分を応募してるから絶対当たるでしょと思ったけれども甘かった…。夏の終わりを知らないままの秋である。
[i]事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf
[ii]https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
[iii]https://www.mhlw.go.jp/content/001148729.pdf