第17回 スージー鈴木のサラリーマン論がついに1冊に!
30年間勤め上げた会社を辞めてから約1年半。会社員生活の間に考えたこと、その中で現役会社員の方にお知らせしたいあれこれを、1冊にまとめた新刊が発売されます。
題しまして『幸福な退職~「その日」に向けた気持ちいい仕事術』(新潮新書)。あ、彩流社のサイトの中で、別の出版社の話をしてすいません。でも臆せず続けます──。
この連載「ロックンロール・サラリーマンのススメ」と、基本的には無関係ですが、ただ両方とも、辞めてすぐのタイミングで始動した企画でもあり、根っこはもちろん共通です。
「会社員こそロックンロール(であるべき)だ」――ひとことで言えば、これが本のコンセプト。
世間に流通しているビジネス本のほとんどは、ビジネスでどう成功して出世するか、に主眼をおいています。ただ、それは私にとってはロックンロールに見えない、感じない。
ではなく、会社というものも「無駄なく・無理なく・機嫌よく」(同書では「MMK」と略します)こなしながら、退職後も見据えて、自分の本当にやりたいことの準備をする。何なら在職中からやっちゃう。これこそがロックンロールじゃないかと思うのです。
ロックンロールが「ロック」と「ロール」の組み合わせであるように、会社もうまくこなすことと、趣味で食っていくことを組み合わせる。これぞロックンロール・サラリーマン!
というよう内容を、あくまで自分の体験を通して、書ききった本なのです。
タイトルにもあるように、本としての入口を「退職」に置きました。つまりは最終的に「幸福な退職」を目指す人のための本です。ただ、退職自体というより、最終的に「あぁ幸福な退職をしたなぁ」と思うために、先述のような、いろいろと欲張った会社員生活をどう過ごしていくべきかが、メインのテーマになっています。
■厳しい時代・状況に立ち向かう会社員にこそ、この本を
具体的には、私が30年勤めた広告業界を舞台とした話です。もちろん現在と比べて、景気も良かったですし、また本の中にも書きましたが、それなりの出世もしました。なので、令和の厳しい環境の中で働かれている、例えば非正規社員の方にとっては、一見のんきな話に映るかもです。
ただ、私が言いたいのは、そんな時代、そんな状況だからこそ「無駄なく・無理なく・機嫌よく」働こうぜ、ということなのです。「仕事なんかに24時間拘束されるなよ」とコーションが鳴り響いている時代・状況です。ましてや、そんなもんで夢を引っ込めるな、ましてやましてや、そんなもんで命を落とすなよ、と。
そんな中、悩めるすべての会社員に『幸福な退職』を。
と、思いっきりハードルを上げていますが、30年間の会社員生活で考えたこと、そのあれこれを一気にぶちまけた本です。そのせいか、書くのもめちゃくちゃスヒーディでした。溜まりに溜まったものを吐き出した、この1冊をぜひ。
[ライタープロフィール]
スージー鈴木(すーじーすずき)
音楽評論家、小説家、ラジオDJ。1966年11月26日、大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲までを「プロ・リスナー」的に評論。著書・ウェブ等連載・テレビ・ラジオレギュラー出演多数。
著書…『桑田佳祐論』(新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』『1979年の歌謡曲』(いずれも彩流社)、『恋するラジオ』『チェッカーズの音楽とその時代』(いずれもブックマン社)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ 1978-1985』(新潮新書)、『カセットテープ少年時代』(KADOKAWA)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。