スージー鈴木のロックンロール・サラリーマンのススメ 第26回

第26回 サラリーマンこそ「投稿」しよう!

スージー鈴木

「書を捨てよ町へ出よう」という言葉も古いですが、(検索を)、それ風にいうなら「会社員よ、仕事を捨てずに投稿しよう」。

 

「投稿」の意味が狭いとすれば「応募」ですね。音楽だったらデモ音源作ってオーディションに応募するとか、ま、それ以前にYouTubeに載せちゃうとか。小説や脚本書いて文学賞の類に応募するとか。さらには漫才でM-1グランプリにエントリーするとか。そういうのしようよ、と言いたい。

 

なんで就職したら、みんな、そういうのをきれいさっぱり諦めるんだろうと、ずっと不思議に思っていたのです。だって、学生時代に比べて小金も溜まっているし、ということは、作ったり・書いたり・ネタ考えたりするための素材を収集することが出来る、インフラを整えることが出来る。だーかーら。

 

でも多くの人は、「あんなのは学生時代にやるもの。就職したらさすがに恥ずかしくって出来ないでしょ」なんて、勝手に線を引いてしまう。なにその、勝手に引いた学生と会社員のぶっとい境界線。そんな、バンバン『「いちご白書」をもう一度』からもう約半世紀も経つというのに(注:就職が決まって髪を切る曲。検索を)。

 

と、勝手に熱くなってしまいましたが、今回はもうちょっと話を狭めて、「会社員よ、仕事を捨てずに投稿しよう、ラジオに」ということを言いたいのです。

 

机の上にあった付箋

 

■「投稿天国」から「シニア・ネタ職人」へ

 

ロックンロール・サラリーマンたるもの、決め付けてしまいますが、昔、ハガキ職人だったはず。そして今や、あの頃には想像すらできなかった文明の利器=Radikoのタイムフリー・エリアフリーの時代。

 

こりゃもう「投稿天国」でしょう?

 

あと、これは経験から断言しますが、大人になればなるほど、いいネタが書けるのですよ。理由として、もちろん人生経験が豊富になるほど、ネタの引き出しも増えること。またネタの書き方自体も、さすがに学生時代よりは洗練されていきますよね。

 

そして、これはラジオ業界自体の変化なのですが、高齢化社会の中、ミドルシニア向け番組が増えてきた。つまり、昔のように夜といえば若者向け番組一色、ではなく、自分向けの番組がかなり用意されている。

 

そう、私たちは、自分たちの年齢に合わせて、ラジオ業界が変化してきてくれているという、非常に幸運な世代なのですよ!

 

というわけで、私なんて、会社生活の晩年、Radikoを聴きながら、よく投稿して、いろんなノベルティを手中に収めていました。それどころか、ラジオDJとして活動している今でも、たまに投稿して笑われています。

 

だって楽しいんだもん。ラジオは投稿してなんぼ。

 

というわけで再度――「会社員よ、仕事を捨てずに投稿しよう、ラジオに」。そして、投稿で仕事の憂さ晴らしをして、元気で活発な「シニア・ネタ職人」になりましょう。あっ、投稿は多分、脳トレにもなりそうだし。

 

最後に。「今後やりたいラジオは?」と聞かれて、「年寄りが画期的なことをやる番組。『ラジオ深夜便』みたいな静かな番組じゃなく、年寄りが暴れたり大声を出す番組」と超えた人がいます。

 

その人の名は吉田照美。聞き手は伊集院光(2017年04月20日のTBSラジオ『伊集院光とらじおと』)。ここにラジオの未来がある!

[ライタープロフィール]

スージー鈴木(すーじーすずき)

音楽評論家、小説家、ラジオDJ。1966年11月26日、大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲までを「プロ・リスナー」的に評論。著書・ウェブ等連載・テレビ・ラジオレギュラー出演多数。

著書…『〈きゅんメロ〉の法則 日本人が好きすぎる、あのコード進行に乗せて』(リッ
トーミュージック)、『弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる』(ブックマン社)、『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)、『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』『サザンオールスターズ 1978-1985』『桑田佳祐論』(いずれも新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』『1979年の歌謡曲』(いずれも彩流社)、『恋するラジオ』『チェッカーズの音楽とその時代』(いずれもブックマン社)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『カセットテープ少年時代』(KADOKAWA)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。

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