スージー鈴木のロックンロール・サラリーマンのススメ 第24回

第24回 ロックンロールな会議暇つぶし法?

スージー鈴木

ロックンロール・サラリーマンたるもの、暇な会議を乗り切るための暇つぶしも、出来るだけロックンロールなものにするべきです。

あ、前提として、会議では自ら積極的に発言して、議論を活性化して、早めに結論を導いて、さっさと打合せを終えて、会社を出て、ロックンロール活動にいそしむことを奨励したいのですが。

しかし、それでもやっぱり聞いているだけ、顔を出すだけでいい会議はあるものです。報告・連絡系の会議。始めから議論なんて求められていない会議。面白いのが、リモート会議が普及した今でさえも、そういう会議の数が減っていない気がすることなのですが。

では、どんな暇つぶしがいいのでしょうか。約30年間にわたる会社員生活の中で、いろいろと工夫しましたが、結論として、「思い出しゲーム」が有効であることに気付き、晩年はそればっかりやってました。

例えば、大阪に長く住んでいた私としては、まずは「大阪市24区思い出しゲーム」が鉄板です。あ、もちろん「東京23区ゲーム」が基本なのですが、私の場合やり過ぎてしまった結果、すぐに正答にたどり着くようになってしまったので。

「大阪市24区」(余談ですが23区よりも多い)は、個人的には城東区や都島区あたりが忘れがちです。あと子供の頃あったのに、いつの間にか無くなってしまった大淀区や南区あたりを入れないようにしなければなりません。

横浜にも長く住んでいた私には、「横浜市18区ゲーム」もよかったですね。瀬谷区や旭区あたりが忘れがちで、いい感じで時間が過ぎていきます。

あと、日本のプロ野球は好きでもメジャーリーグにあまり詳しくない私にとって、「メジャーリーグ30球団ゲーム」は、いい感じで難しく、1時間くらいがあっという間に過ぎていったものです。

西海岸のチームは、日本人選手の在籍シーズンも多かったので、馴染み深くて分かるのですが、東海岸がどうにも分からない。ピッツバーグ・パイレーツとフィラデルフィア・フィリーズという「P」だらけのあたりが忘れがちだったかも。

さて、このコンピレーションは何でしょう? 詳しくは下記を。

  • 「曲名思い出し&コンピレーション作りゲーム」のススメ

でも、よく考えたら、これらのゲームはあんまりロックンロールじゃない。そこで、いちばん楽しくて、かつロックンロールだったのが、「曲名思い出し&コンピレーション作りゲーム」ですね。

これは非常に高等かつ地味な暇つぶしでして、ある音楽家について「全アルバムの●曲目の曲名を思い出して、それをいい感じで並べる」というものです。

例えば「初期サザンのアルバムラストの曲のコンピレーション」(今回は『稲村ジェーン』まで)だと、

【A面】

#1「今宵あなたに」

#2「栞のテーマ」

#3「愛して愛して愛しちゃったのよ」

#4「働けロック・バンド (Workin’ for T.V.)」

#5「Dear John」

 

【B面】

#1「逢いたくなった時に君はここにいない」

#2「いとしのエリー」

#3「旅姿六人衆」

#4「Just A Little Bit」

#5「悲しみはメリーゴーランド」

さすがにアルバム最後の曲ばかりだと、重いコンピレーションになるなぁなどと思いながら、当時っぽくA面・B面のカセットを作るように並べ替えを考えて、あとでサブスクのプレイリストを作って聴く――という地味な遊びです。

いちばん飽きなかったのは、やっぱりビートルズです。上の画像は、そのゲームを繰り返して完成した「A面2曲目コンピレーション」です。渋くていいわ。

もちろん、あなたが好きな他の音楽家にも転用可能です。というわけで、ロックンロール・サラリーマンは、会議の暇つぶしもロックンロールに!

[ライタープロフィール]

スージー鈴木(すーじーすずき)

音楽評論家、小説家、ラジオDJ。1966年11月26日、大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲までを「プロ・リスナー」的に評論。著書・ウェブ等連載・テレビ・ラジオレギュラー出演多数。

著書…『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)、『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』『サザンオールスターズ 1978-1985』『桑田佳祐論』(いずれも新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』『1979年の歌謡曲』(いずれも彩流社)、『恋するラジオ』『チェッカーズの音楽とその時代』(いずれもブックマン社)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『カセットテープ少年時代』(KADOKAWA)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。

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