スージー鈴木のロックンロール・サラリーマンのススメ 第27回

第27回 『サブカルサラリーマンになろう』のススメ

スージー鈴木

 

今回は宣伝です。最近まさに新刊ラッシュ、生き急いでいるようなスージー鈴木ですが、今度は、昨年の『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』(新潮新書)に続く「働き方本」を世に問います。

 

題して、『サブカルサラリーマンになろう』(東京ニュース通信社)。3月29日発売。タイトルにご注目ください。そう、この連載「ロックンロール・サラリーマンのススメ」とほぼ同一のコンセプトです。エッセンスは共通するものですので、本コラムの読者なら、楽しんで読んでもらえるはずかと。

 

それにしても私、本を出し過ぎです。昨年12月に『中森明菜の音楽 1982-1991』(辰巳出版)、続いて先月に小説『弱い者(もん)らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる』(ブックマン社)、さらには音楽理論本『〈きゅんメロ〉の法則 日本人が好きすぎるコード進行に乗って』(リットーミュージック)と、芸風も違えば版元も違う3冊を世に出しました。

 

本を書かせていただけることはうれしいのですが、やっぱり売れなければなりません。というわけで、『サブカルサラリーマンになろう』、ぜひお買い求めください。サブカルサラリーマン、略して「サブサラ」を全国的に流行らせたいと思います。それでも流行らない・本が売れないのであれば、書名を変えます。題して『人新世のサブカルサラリーマンになろう』――。

 

 

■なぜ会社員の経験がカルチャー仕事に活きるか

 

内容は、会社員になっても、カルチャー活動を続けたい、あげくの果て最後にはカルチャー仕事を本業にしたいなどと漠然と思っている人に向けた108個の格言とそのココロが書かれているというものです。108個、そう、人間の煩悩の数だけサブサラへの道は開かれている!

 

「格言」は例えばこんな感じ。うーむ、幅広い。

 

・「二枚目の名刺」を持つ。

・出世しても「出世の魔力」に負けない。

・スーツケースは出張に使わない。

・スライド本棚は、神だ。

・会社員だからこそ投稿する。

・「自分は発注体質か受注体質か」を見極める。

 

あと、ますだおかだ増田英彦さんとの対談も入っています。共通点はお互い、広告代理店の出身ということ。私が博報堂で増田さんが大広。

 

相違点は私が約30年勤務したのに対し、増田さんがたった9ヶ月と、勤務期間に大きな隔たりがあることですが、隔たりのある多面的な側面から、広告業界、ひいては会社員時代を見つめ直す対談です。というわけで、広告業界(志望者)の人々も必見。

 

ですが、一番の売りは、帯に載っている宣伝コピーです。

 

――会社員になっても、サブカルをあきらめない。

 

コピーライターの方の名前は、スージー鈴木さん。私だよ。そういえば『EPICソニーその時代』(集英社新書)向けに書いた

 

――「80年代」と書いて「EPICソニー」と読む。

 

に続く自給自足コピーです。今回もわりと気に入っているのですが、実はこのコピー、会社員としての働き方に重要な示唆を与えてくれるものなのです。

 

副業でライター仕事をやっていた広告マンが退職して、今度は本業となったライター仕事で本を出すときに、広告マン時代のスキルが活きた結果としてのコピーですよね、これ。

 

だからこのコピーは、会社経験は決して無駄ではないということ、そして会社を焦って辞めることもないということ、そして満を持して辞めたとき、それまでの本業経験が武器になるということ、などなどを示していると思うのです。

 

もっといえば「サブカルサラリーマン、ロックンロール・サラリーマンこそが最強!」ということも――。

 

名実とも心身ともに最強になるための格言が満載です。ぜひぜひ。

[ライタープロフィール]

スージー鈴木(すーじーすずき)

音楽評論家、小説家、ラジオDJ。1966年11月26日、大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲までを「プロ・リスナー」的に評論。著書・ウェブ等連載・テレビ・ラジオレギュラー出演多数。

著書…『〈きゅんメロ〉の法則 日本人が好きすぎる、あのコード進行に乗せて』(リットーミュージック)、『弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる』(ブックマン社)、『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)、『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』『サザンオールスターズ 1978-1985』『桑田佳祐論』(いずれも新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』『1979年の歌謡曲』(いずれも彩流社)、『恋するラジオ』『チェッカーズの音楽とその時代』(いずれもブックマン社)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『カセットテープ少年時代』(KADOKAWA)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。

 

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