もう一度、外国語にチャレンジ! スペイン語を学ぶ ~メキシコ編~

第13回 グアナフアトの買い物事情

文・写真 伊藤ひろみ

 「外国語学習に年齢制限はない!」「ないのではないか?」いや、「ないと信じたい!」

そんな複雑な思いを抱えながら、まずは都内でスペイン語学習をスタートさせた。そして2023年2月、約1カ月間の語学留学を決行した。目指すはメキシコ・グアナフアト。コロナ禍を経て、満を持しての渡航となった。

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<第13回> グアナフアトの買い物事情

 

平日の午前はスペイン語の授業に参加し、午後はスペイン語の復習をしたり、サルサクラスに参加したりするほか、時間に余裕のある日は、町歩きをする。そんな毎日が続いている。肝心のスペイン語修行は、まだまだ亀の歩み。暮らしに必要な会話は少しずつ慣れてきたとはいうものの、思うように聞き取れない、話せないことだらけ。やはり、そう甘くはない!

今回はグアナフアトでのショッピングについて。日々の買い出しから、おみやげ選びまで、足で集めた現地の情報をお届けしたい。

カニカマは魚介類?

フアレス通りの西に位置しているのが、大型スーパーマーケットSoriana、(ソリアーナ)。食料品はもちろん、衣料品、日用品、文具などのほか、家電の一部も扱っている。ドライヤーを持ってくるのを忘れた日本人学生が、このスーパーで購入したと聞く。

Sorianaへは車で買い出しに来る人も多いのか、駐車場も完備

特に食料品は売り場面積も広く、ゆったりと買い物できる。さすがメキシコ。トマト、ジャガイモ、ピーマン、トウモロコシ、唐辛子など、珍しい色や種類が並んでいる。概して野菜や果物は充実した品揃えで、ぶらぶら見て回るだけでも楽しい。商品ごとにキロ当たりの値段が表示されているので、必要な量(個数)に合わせて精算する仕組み。

グアナフアトは中央高地にある町なので、魚は期待できないだろうと想像していたのだが、サーモン、タラ、アジ、サバ、エビ、イカなど、魚介類もそれなりに揃っている。びっくりしたのは、魚売り場にカニカマ?が並んでいたこと。ここでは魚介類という意識なのだろうか。

野菜と魚売り場の様子。魚は切り身ではなく1匹丸ごとが基本のようだ

Salsa de soja(サルサ・デ・ソハ/豆のソースの意)として日本のしょう油が売られているなど、一部ではあるが、日本の食材も入手できる。カップ麺では、日清食品のカップヌードル、東洋水産のマルちゃんはメキシコで人気のよう。パッケージデザインや味などはこちらのテイストにアレンジされているようだが、数種類が棚に置かれていた。

スーパーマーケットvs個人商店

ホームステイ先で朝夕の食事を提供してもらっているので、食材等はほとんど買い物する必要がない。昼食として、屋台でタコスを食べたり、パンやフルーツなどを買ったりするくらいでこと足りている。言語センターへ行く途中にパン屋や果物屋があり、通学の途中に立ち寄ることが多い。飲み物やおやつなどを購入するときは、大学のすぐそばにあるコンビニ、OXXO(オクソ)を利用している。休憩時間や昼休みは、買い出しする学生たちでにぎわう。

コンビニチェーンOXXO。右は言語センターの入口

 

オルガさんは、Sorianaなどの大型スーパーで、あまり買い物しないとか。食料品は住まいの近くにある肉屋、八百屋などに買いに行く。店の人と顔なじみなので、挨拶したり、日常の様子を伝えあったりしながら、必要なものを購入している。

個人商店の場合、今日は何がおすすめなのか、何がどれくらいほしいかなど、言葉にして伝えなければならない。なにより、値段がついていない商品も多いので、いくらなのかを確認する必要がある。商品の名前がわからなくて焦ったり、値段の数字が聴きとれなかったりと、慣れないうちは冷や汗もの。¿Algo más?(アルゴ・マス)という店員の問いかけにどう答えるかなど、まさに実践トレーニングの日々が続く(ミニミニ・スペイン語レッスンをご参照ください)。

メキシコチックなお土産とは?

フアレス通りやその周辺には、おみやげものを売っている店が並んでいる。グアナフアトのおみやげとして人気なのが、セルビン焼きのグッズ。プレートやコーヒーカップなどのほか、日本茶を楽しめる急須や湯のみなどを扱う店もある。

セルビン焼きショップの店内。日本人客が多いのか、日本語での注意書きが置かれている

メキシコといえばソンブレロ。つばが広くて、いかにもメキシコをイメージさせるデザインから、ファッショナブルなものまで、好みの一品を探す楽しみもある。ほかに、刺しゅう入りのブラウス、ストール、布ベルトなどもメキシコチックでおすすめ。

食品としては、コーヒー、ヌガーやキャンディ、はちみつなど。お酒が好きな人には、メキシコを代表する蒸留酒、メスカル(Mezcal)という選択もある。テキーラと同様、メキシコ原産の多肉植物、リュウゼツランを原料としている。テキーラに比べて、産地などによる味のバリエーションが多く、スモーキーな香りと豊かな味わいが特徴だと言われている。

人気のスィーツのショップ。メスカル、はちみつなども扱っている

ガイコツなんて怖くない!

町を歩いて気づくことのひとつは、店頭にあふれるガイコツグッズ。ガイコツのことをスペイン語では、カラベラ(Calavera/「頭がい骨」の意)という。リアルなカラベラ人形から、Tシャツ、かばん、陶器の置物、ピアスや指輪などのアクセサリーにいたるまで多種多様なガイコツを目にする。

メキシコならではのデザイン。ガイコツTシャツもバリエーション豊富

メキシコでは、毎年11月1日・2日は死者の日。家や墓地に祭壇を設置し、死者の魂を迎える。祭壇などには、供花マリーゴールドを飾り、供物を置く。そもそもの考え方は日本のお盆に近いのかもしれないが、静かに死者を悼むというより、お祭りムードのイベント。パレードやパーティなどを催し、食べたり飲んだり歌ったり踊ったり。家族とともに、陽気でにぎやかに過ごす祝祭のようである。死者の日は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。

今回の滞在は2月。死者の日のメキシコをリアルに味わうことができなくて残念!

ソンブレロやポンチョなどとともに、ガイコツはメキシコの推しグッズ?

その死者の日のシンボルがカラベラ。祝祭の期間のみならず、一年を通してあちこちで目にすることができる。大きな帽子をかぶり、ドレスを身に着けているガイコツ女性は、カトリーナ(Catrina)と呼ばれている。よく見ると、人間くさい姿かたちだったり、愛嬌のある表情をしていたり。

とあるレストランで、巨大カトリーナを見かけた。客寄せのために、あるいは店を目立だせるために置いてあるのだろうが、一瞬ギョッとする。メキシコ人にとってガイコツは、おどろおどろしいイメージはなく、親しみのある存在だという。

レストラン入り口に飾られたカトリーナ。骨むき出しの部分と衣装のバランスが絶妙

ひとかわむけば、皆ガイコツ。そういう意味では、表面的な違いは何ほどでもないと、言えなくもない。そもそも死や死者に対する考え方の違いも大きい。カトリーナに見守られながら食事をすれば、いいことがあるかな。

ミニミニ・スペイン語レッスン〈13〉

買い物の際の決まり文句

対面で対応する店の場合、必要な商品をあれこれ伝えると、たいてい店員がこう尋ねる。¿Algo más?(アルゴ・マス)は、直訳すると「さらに何か?」という問いかけ。ほかに必要な商品はないか、確認しているのである。まだ買うものがある場合は、これこれがほしいと続け、ない場合は Nada más.(ナダ・マス「これ以上何もない)の意味)と返す。店員と客との間で、ほとんど決まり文句のように交わされる会話である。

 

スペイン語と店の呼称

市場(mercado/メルカード)

スーパーマーケット(supermercado/スーペルメルカード)

コンビニエンスストア(tienda de 24 horas、 tienda de conveniencia)/ティエンダ・デ・ヴェインティクアトロ・オーラス、 ティエンダ・デ・コンべニエンシア)

肉屋(carnicería/カルニセリーア)、 魚屋(pescadería/ペスカデリーア)

八百屋(verdulería/ヴェルドゥレリーア)、 果物屋(frutería/フルテリーア)

パン屋(panadería/パナデリーア)など

※小売店は〇〇eríaとなることが多い(〇〇屋にあたる)。本文で紹介したものを中心に取り上げたが、店名も商品名もいろいろ。覚えることはいっぱいある!

[ライタープロフィール]

伊藤ひろみ

ライター・編集者。出版社での編集者勤務を経てフリーに。航空会社の機内誌、フリーペーパーなどに紀行文やエッセイを寄稿。主な著書に『マルタ 地中海楽園ガイド』(彩流社)、『釜山 今と昔を歩く旅』(新幹社)などがある。日本旅行作家協会会員。

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