スージー鈴木のロックンロール・サラリーマンのススメ 第22回

第22回 「忙しくても本を読むための最強の方法とは?」

 

本を読むために生きていると、つくづく思います。音楽も映画も、そりゃ楽しいのですが、私にとって、最大の趣味はやっぱり読書です。

 

よく本を読んでいるという自負もありますし、よく本を読んでいると言われることも多い。では、どうやったらたくさん本を読めるのか。

 

禅問答になりますが、その最大の秘訣は「本を読まないこと」なのです。

 

周囲を見ていて、「面白くないと思っている本を義務や執念で読んでいる人」がとても多いことに気付きます。

 

対して私には「面白くないと思っている本」を読むという感覚が分かりません。てか、せっかく買ったとしても「面白くない」と思うのならば、そんな本読む必要はないのです。時間の無駄。そんな本は、捨ててしまいなさい、というより、売っちゃいなさい。

 

つまらない曲をサブスクでびゅんびゅん飛ばすのなら、つまらないページもびゅんびゅん飛ばしていい。そして、全体がつまらないと思った本は、読むこと自体をすっ飛ばした方がいい。

 

だって、読み手は書き手より偉いのですから。私たちには、芥川龍之介の本を、読まずにブックオフに売れる権利があるのですから――。

カピカピになった本は無造作に本棚にしまう。そして読みたくなったら必死に探す。これがスージー流

 

 

・ そうだ「あの時間」に読書できるではないか!

 

しかし、会社員は忙しい。会社や人、上司にもよりますが、このご時世、9時~5時できっちり仕事を終えられる人は、かなり少ないはずです。

 

本を読む時間なんて、どこにあるんだ? でも、ロックンロール・サラリーマンは本を読みたい。というか、本を読むために働いているという実感すらある。

 

さて、どうしたものか。ちょっと前なら、通勤中の電車の中で読書している人が多かったですね。会社員時代、「朝晩の往復で1冊読んでいる」と豪語する遠距離通勤の同僚がいたものです。しかし最近はリモートの人も多いはず。

 

そこで、私の提案は「お風呂読書」です。お風呂の中をカルチャー空間にすることを提案します。風呂の中で身体だけでなく、読書によって脳の中もリフレッシュするのです。

 

30年ほど、私は風呂読書を励行し続けてきました。さすがに湯船に本をジャポンと入れたりはしませんが、それでも濡れた手で読むので本が濡れて、ページは後にカピカピになります。

 

しかし、です。カピカピ本、その後も十分に読めます。また腐ったりとか、カビが生えたりとか、虫が湧いてきたりしたことは(少なくとも私の経験上は)ありません。だとしたら「お風呂読書」、やるしかない!

 

「カピカピにならず、でも読まれない本」と「カピカピになるけど、何度も読まれる本」。本の方も、後者のほうがうれしいのではないでしょうか。

 

[ライタープロフィール]

スージー鈴木(すーじーすずき)

音楽評論家、小説家、ラジオDJ。1966年11月26日、大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲までを「プロ・リスナー」的に評論。著書・ウェブ等連載・テレビ・ラジオレギュラー出演多数。

著書…『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』『サザンオールスターズ 1978-1985』『桑田佳祐論』(いずれも新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』『1979年の歌謡曲』(いずれも彩流社)、『恋するラジオ』『チェッカーズの音楽とその時代』(いずれもブックマン社)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『カセットテープ少年時代』(KADOKAWA)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。

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