スージー鈴木のロックンロール・サラリーマンのススメ 第25回

第25回 長期休暇を取る方法、それも確実に。

スージー鈴木

 

年末年始、みなさんちゃんと休めましたか? 長期休暇、取れましたか?

 

会社員時代、私は年末年始、よく休んだものです。3週間ぐらい休んだときもありますよ。思えばいい会社だったな、仕事仲間に恵まれていたな、感謝感謝……なんて、スウィートなことも言いたくなりますが、でも言わない。

 

なぜなら、長い休みを取ることを、当たり前にしたいから。

 

では、長期休暇取得を当たり前にするにはどうするか。休暇後進国の日本で長期休暇を取るには、まだまだ知恵と工夫が必要です。元々要領だけは良かった私ですが、それでも休暇取得には、それなりに頭を使ったものです。

 

まずは、かなり前に取得宣言することです。もう夏ぐらいに「年末年始休むから」と周囲に宣言するのがいい。

 

そのためには「かなり先の予定を考えるクセ」を付けた方がいい。つまり8月くらいにスケジューラーの年末年始のページを見ることが大切。逆に、早めに見ない人、12月になって初めて年末年始を意識するような人は、長期休暇なんて絶対に取れません。

 

そうです。スケジューラー。チーム員全員が予定を確認し合える文明の利器。あれが長期休暇取得の大きな武器になります。

 

会社生活の晩年、私はスケジューラーの長期休暇のところに、ベターッと真っ赤な長方形で休みの予定を作って共有していました(もちろんかなり早めに)。休むぞという宣言だけでなく、スケジューラーへの予定作りも重要ということです。

スケジューラーには早めに、これくらい派手な予定を。

 

■「常時接続」ならぬ「非常時非接続」のルール化を

 

さらに、その予定のタイトルを「休暇予定」なんて軽いのではなく、もっと印象が深くなるようなタイトルを付ければいい。

 

私が年に一度、会社員時代の友人と行く旅行がありまして、その名前が「ウキウキツアー」。だから私は会社員時代、全社員に公開するスケジューラー上の旅行予定の「長方形」に「【重要】ウキウキツアー」と書いていたのです。それも真っ赤な色で。

 

それを見たチーム員は、まず驚き、そして次に「ウキウキツアーかぁ……こりゃ仕方ないわ。鈴木さんを仕事に駆り出すわけには行かないわ」と断念し、結果私は休むことが出来た。逆にいえば、ギリギリになって「休暇予定」なんて軽いネーミングで、かつ淡い色の長方形だったら、「すいませんが出社してください」と言われかねない。

 

で、休みが取れたら、仕事関連の電話やメールを出ない・見ない。一切無視するのが理想ですね。

 

ここらあたりは正直、なかなか難しいと思うのですが、とにかくスマホという文明の利器が、「休暇中も常時接続せよ」と迫ってくるのが、令和の休暇の実態でしょう。

 

私が思うのは、平日に「常時接続」を迫るなら、休日、特に長期休暇の場合は「非常時非接続」をルール化してほしいということです。特に若い会社員は「常時接続」による強烈なプレッシャーで病む人が多いはずですから。

 

長―い休暇を取った後、ボーッとした頭で出社して、浦島太郎みたいな気分で頭がクラクラする――あの快感。会社は辞めてしまったけれど、あれ、もう一度味わいたいなぁ。

 

[ライタープロフィール]

スージー鈴木(すーじーすずき)

音楽評論家、小説家、ラジオDJ。1966年11月26日、大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲までを「プロ・リスナー」的に評論。著書・ウェブ等連載・テレビ・ラジオレギュラー出演多数。

著書…『弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる』(ブックマン社、2/1発売)、『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)、『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』『サザンオールスターズ 1978-1985』『桑田佳祐論』(いずれも新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』『1979年の歌謡曲』(いずれも彩流社)、『恋するラジオ』『チェッカーズの音楽とその時代』(いずれもブックマン社)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック)、『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『カセットテープ少年時代』(KADOKAWA)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。

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